家賃収入の課税方法

米国不動産からの賃料収入に対する2つの課税方法

こんにちは。「ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。

今日は日本居住者の米国不動産からの家賃収入に対する課税のされ方についてお話しします。

日本にお住いの皆様が、アメリカにある不動産から家賃収入を得た場合、その家賃収入はアメリカで課税対象となります。では、どのように課税されるかというと、2つのパターンがあります。

  • 源泉徴収による家賃収入総額に対する課税
  • 確定申告時に経費を引いた後の純利益に対する課税

源泉徴収による家賃収入総額に対する課税

1つ目は、家賃の総額から30%源泉徴収される方法です。家賃の総額ですので、不動産賃貸に関する経費を引く前の金額の30%です。源泉徴収により納税をされる場合は、そのままで納税が完了しますので、そのほかにアメリカからの収入がない場合は、現地での確定申告は不要になります。これは、例えば、日本で利子所得(銀行からの預金の利息)や配当所得(株式からの配当金)に対しての税金が源泉徴収されそのまま確定申告不要、となるのと同じ仕組みです。

ただ、賃料収入の30%というのはかなり税額が大きく、非常に不利な感じがします。そのため、確定申告したほうが税額的には少なく済む方がほとんどかと思います。この方法の良い点は確定申告せずに済む、申告を会計事務所に依頼する経費がかからずに済む、ということでしょうか。

確定申告時に経費控除後の純利益に対する課税

2つ目は、この家賃収入を“Effectively connected with your U.S. trade or business” 「米国での取引・事業に実質的に関連する収入」として扱う選択をして、確定申告書上で年間家賃収入から不動産の賃貸事業に関する必要経費を差し引いて純利益を計算して、それに対して税率をかけた税額を納付する方法です。この方法では、固定資産税、支払利子、修繕費、管理費、維持費、保険料などの運営費用に加え、節税効果の高い減価償却費(参考コラム:不動産投資家の味方?!減価償却とは?)も経費として計上できるため、1つ目の方法と比べて大幅に家賃収入に対する税金を減らすことができます。

なお、こちらの方法の場合、W-8ECIという書類を物件管理会社に提出することで、家賃収入からの源泉徴収も回避することができます。詳細は(参考コラム:米国で源泉徴収税を回避・減額する方法-W8 BENとは?)のコラムをご参照ください。もし、源泉徴収されていたとしても、確定申告をすることで、純利益に対する税額を超えた部分の源泉徴収額の還付を受けることが可能となります。

税額的には大きくメリットがありますが、デメリットとしては、以下が考えられます。

・確定申告が必要となる

・ソーシャル・セキュリティー番号がない場合は、個人納税者番号(ITIN)の取得(参考コラム:米国の個人納税者番号(ITIN)の取得方法とは?)が必要

・確定申告及びITINの取得を会計事務所に依頼した場合は、会計事務所の報酬が発生する(経費計上可能)

・この選択をする場合毎年確定申告書の提出が必要

とく子
とく子
ポイント:
これらの経費や手間を考慮しても、確定申告をする方法のほうがメリットは大きく、一般的です。

ちなみに、物件の所在する州での確定申告が必要な場合は、2つ目の「経費を引いた後の純利益に対する課税」となります。(注:米国は州により税法が大きく異なります。)

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