こんにちは。「米ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。今日は、ご質問を受けることが多いアメリカの贈与税についてお話しします。
アメリカの贈与税の基本
日本では一人当たり年間110万円(受取額の合計)まで非課税で贈与を受け取ることがで、それを超えると受け取った人が贈与税の申告及び納税をする必要があります。一方、アメリカでも非課税枠があり、その金額は以下の通りです。
年間非課税枠
2025年の年間非課税枠:
- 個人:19,000ドル(受贈者1人あたり)
- 夫婦:38,000ドル(受贈者1人あたり、夫婦で贈与する場合)
この金額は、贈与を受け取る個人ごとに適用されます。つまり、贈与者から複数の人に対して、それぞれ19,000ドルまで贈与することができます。しかし、この額を超過した場合、アメリカでは日本とは異なり、贈与する人が申告及び納税をする必要があります。つまり、日本とは申告及び納税する人が贈与者と受贈者で逆になります。
日本からの贈与
日本人(非居住外国人)からの贈与が米国の贈与税の対象になる場合は、上記の金額基準に加えて以下の二つの条件を満たしたときです。
1.贈与された財産がアメリカ国内にある
2.贈与された資産が有形資産
例えば、アメリカ国内にある不動産、車、美術品、宝石、現金などが上記に該当しますが、株式、債券などは贈与税の対象外です。
また、米国在住人が、日本にいる親から生活費や教育費として仕送りを受ける場合は、日本とアメリカのどちらでも贈与税の対象になりません。
ただし、贈与税の対象にならなくても、アメリカ非居住者(例: 日本在住の親など)から課税年度中に合計10万ドル($100,000)以上の贈与や遺産を受け取った場合、IRSへの報告が必要になります。この報告は、Form 3520 Annual Return To Report Transactions With Foreign Trusts and Receipt of Certain Foreign Giftsを提出することで行います。
アメリカでの贈与税の申告
上記の年間非課税枠(2025年は個人:19,000ドル、夫婦合算:38,000ドル)を超える贈与の場合は、贈与者が申告書を提出する必要があります。
申告は米国居住者、非居住者ともにForm 709 United States Gift (and Generation-Skipping Transfer) Tax Returnを提出しますが、ほとんどの場合はその年に納税することにはなりません。
年間非課税枠を超過した場合でも、生涯非課税枠があり、それを超えなければ課税はされません。生涯非課税枠は以下の通りです。
生涯非課税枠
2025年の生涯非課税枠:
- 個人:13.99百万ドル
- 夫婦:27.98百万ドル
この生涯非課税枠は、遺産税の控除額と同じ額です。(遺産税についてはこちらのコラムをご参照ください。)つまり、故人の遺産(死亡時)と生涯に渡って贈与する金額の合計がこの額を超えなければ、遺産税及び贈与税は課税されません。
まとめ
アメリカの贈与税事情を理解することは、特に贈与者と受贈者が日本とアメリカにまたいでいる場合は非常に重要です。弊社では、米国と日本をまたぐ贈与・相続に関するご相談を承っております。世界最大手会計事務所での勤務経験を持つ米国公認会計士(USCPA)が直接対応し、高い専門性で複雑な手続きや英語でのやり取りをサポートします。少人数チームならではの柔軟性とコストメリットで、迅速かつ丁寧にお手伝いします。
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