こんにちは。「米ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。今日は、外国人がアメリカにある不動産を売却するときに課される源泉徴収税についてお話しします。
アメリカで不動産を売却する際、外国人投資家には、Foreign Investment in Real Property Tax Act ( FIRPTA) (外国人不動産投資税法) による源泉徴収税が課されます。このコラムでは、FIRPTAの基本について詳しく解説し、売却時に必要な手続きや注意点を紹介します。
FIRPTAとは?
FIRPTAは、1980年に制定された法律で、外国人が米国の不動産を売却した際に、買手が売却代金の一部を源泉徴収税として差し引くことを義務付けています。これは、外国人投資家が米国で得た利益に対して適切な税金を支払うことを確保するための措置です。
源泉徴収税の対象となる取引
FIRPTAの対象となるのは、米国内の不動産を売却する外国人(アメリカから見た税務上の非居住者や外国法人)投資家です。具体的には、以下のような不動産取引が対象となります:
– 一戸建て住宅、集合住宅、土地などの売却
– 商業用不動産の売却
– 不動産の持分の売却
源泉徴収税の計算方法
FIRPTAによる源泉徴収税は、通常、売却価格の15%が適用されます。ただし、買主がその不動産を個人の住宅として使用する場合、 売却価格が100万ドル以下の場合は売却価格の10%に、さらに30万ドル以下である場合は源泉徴収不要となります。
手続きの流れ
1. 売買契約の締結:
不動産の売却契約を締結する際に、FIRPTAの適用の要否について確認します。買主やエスクロー会社(タイトル会社)と協力して、手続きを進める準備を行います。
2. 売却価格から源泉徴収税の差し引き:
買手は、売却価格の一部を差し引き、源泉徴収税として納付する義務があります。通常、エスクロー会社(タイトル会社)がこの手続きを代行し、IRS(日本の国税庁に相当)に納付します。なお、州により、州の源泉徴収税が課されることもあります。
3. Form 8288の提出:
売却後、20日以内にエスクロー会社(タイトル会社)、または代理人がIRSに対してForm 8288およびForm 8288Aを提出し、源泉徴収額を納付します。
売却後の確定申告
不動産の売却後、翌年の確定申告時に最終的な税額を計算します。 FIRPTAによる源泉徴収税額を確定申告書上で報告し、源泉徴収税額が実際の税額を上回る場合、超過分の還付を受けることができます。
まとめ
FIRPTAによる源泉徴収税は、外国人投資家がアメリカで不動産を売却する際に考慮が必要です。適切な手続きを行い、必要な書類を提出することで、予期せぬトラブルを回避することができます。FIRPTAに関する詳細な情報や手続きについては、専門家に相談することをお勧めします。
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