米国確定申告書提出&納付期限と主な州比較

こんにちは。「米ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。今回は、アメリカの個人向け確定申告書の提出&納付期限について、居住者・非居住者・州ごとの違いについてお話しします。
米国の確定申告の基本提出期限
米国籍の方、永住権(グリーンカード)保有者、米国内の居住者などU.S. Residentsの連邦の確定申告書(Form 1040)は、原則として4月15日が提出期限です。ただし、4月15日の納付期限時に米国外に住んでいる方は、自動で2か月間の延長期間が与えられるので6月15日となります。延長申請をすると6か月間延長され最長10月15日となります。
一方で、非居住者(Non-resident Aliens)の連邦の確定申告書(Form 1040-NR)の提出期限は原則6月15日ですが、米国で源泉徴収の対象となる給与所得がある場合などは非居住者でも4月15日が提出期限となります。さらに、もともとの提出期限から6か月の延長申請が可能です。
延長申請(Extension)の誤解と留意点
「Extension(延長申請)を出したから4月15日を過ぎても問題ない」と思っている方は要注意です。延長されるのは「提出期限」だけで、納税期限は延長されません。
延長申請ではもともとの提出期限から6か月間提出期限を延ばせますが、納税額の全額を4月15日(非居住者で米国源泉徴収対象の給与所得がない方は6月15日)までに納めていない場合は、支払期限を過ぎると遅延利息(Interest)と罰金(Failure-to-pay-penalty)が発生しますので、もともとの提出期限までに納税しておくことをお勧めします。
また、州への提出が必要な場合は、居住者・非居住者ともに4月15日の提出及び納税を定めている州が一般的です。ほとんどの州では連邦と同じように延長申請が可能ですが、州への提出がある方は4月15日までに納付をされることをお勧めします。
州ごとの確定申告提出期限の違い
アメリカでは、連邦申告(IRS)に加えて、州によって別途申告が必要な場合があります。以下は主な州税申告の一覧です。
州名 |
州所得税 の有無 |
申告書の例 |
提出期限 (通常) |
備考 |
カリフォルニア(CA) |
あり |
Form 540 / 540NR |
4月15日 |
自動で6ヶ月延長(ただし納税は4/15まで) |
ニューヨーク(NY) |
あり |
Form IT-201 / IT-203 |
4月15日 |
延長申請で10/15まで延長可能 |
ハワイ(HI) |
あり |
Form N-11 / N-15 |
4月20日 |
電子的提出推奨。延長可(6ヶ月) |
テキサス(TX) |
なし |
なし |
該当なし |
所得税がないため、州への申告不要 |
イリノイ(IL) |
あり |
IL-1040 |
4月15日 |
自動6ヶ月延長あり(支払いは期限までに) |
ワシントン(WA) |
なし |
なし |
該当なし |
州所得税なし。ただし一部ビジネス税あり |
マサチューセッツ(MA) |
あり |
Form 1 / Form NR/PY |
4月15日 |
延長申請で10/15まで延長可 |
ニュージャージー(NJ) |
あり |
NJ-1040 / NJ-1040NR |
4月15日 |
延長には申請が必要(Form NJ-630) |
州ごとに申告義務の有無やフォーム、延長ルールが異なるため、必ず各州のDepartment of Taxationなどのサイトで確認しましょう。
納税は期限内に完了しないとどうなる?
4月15日までに納税を完了しないと、以下のリスクがあります:
- 遅延利息(Interest):納付すべき税金に対して年率で利息が加算
- 延滞罰金(Failure-to-pay-penalty):最大25%の罰金が課される可能性
- 将来的な税務調査リスク:延滞が繰り返されると、監査対象になることも
安心して納税するためにも、申告と納税は早めに準備することをおすすめします。
まとめ
アメリカの確定申告は、居住者・非居住者の違いや州によって大きく異なります。Extensionはあくまで提出の延長であり、納税の延長ではないという点は特に重要です。余裕をもって対応しましょう。

弊社では、日本人(米国から見た非居住者)、日本にお住いの米国籍および米国永住権保有の方、の米国確定申告に関するご相談も承っておりますので、ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。