こんにちは。「ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。
今日は減価償却費の計算方法の日米での違いについてお話しします。
不動産投資をする際に節税効果の高い減価償却について、こちらのコラムでご説明いたしましたが、その計算方法は各国の税法で決められており、国によって大きく異なります。
日本の減価償却方法
まずは、日本の不動産に関する減価償却方法についてまとめます。
日本の特徴は、建物の構造と用途別に法定耐用年数というものが決められていて、これに応じて償却期間が決まることです。主なものは以下の通りです。
構造 |
用途 |
法定耐用年数 |
軽量鉄骨造 (骨格材の肉厚3mm以下) |
住宅用 |
19年 |
事務所用 |
22年 |
|
店舗用 |
19年 |
|
木造 |
住宅用 |
22年 |
事務所用 |
24年 |
|
店舗用 |
22年 |
|
重量鉄骨造 (骨格材の肉厚6mm以上) |
住宅用 |
34年 |
事務所用 |
38年 |
|
店舗用 |
34年 |
|
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
住宅用 |
47年 |
事務所用 |
50年 |
|
店舗用 |
39年 |
新築の場合は、上記の法定耐用年数にわたり減価償却費を計上しますが、中古物件の場合は、原則は耐用年数を見積もりする必要がありますが、以下の計算式で簡便的に年数を計算することも可能です。
法定耐用年数から築年数(経過年数)を引いた年数に経過年数の20%(1年未満端数切捨て)を足し戻した期間を償却期間とします。法定耐用年数を過ぎた建物は、法定耐用年数の20%(1年未満端数切捨て)に相当する期間になります。
<例>
築10年の木造住宅の場合:
償却期間=(法定耐用年数22年-経過年数10年)+(経過年数10年x20%(=2年))=14年
築35年の重量鉄骨造住宅の場合:
償却期間=法定耐用年数34年x20%=6.8年端数切捨て⇒6年
また、その計算方法ですが、不動産(建物&建物付属設備)の場合は、平成10年4月1日以後に取得した建物、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備などは、毎年一定額を経費とする「定額法」と指定されています。
取得した不動産のうち、土地に該当する部分は減価償却対象外です。
米国の減価償却方法
一方米国ですが、法定耐用年数は建物の構造ではなく、その使用目的で決まります。
用途 |
償却期間 |
居住用 |
27.5年 |
非居住用 |
39年 |
さらに、米国の特徴として、中古の建物を取得した場合でも上記の期間にわたり償却します。日本と違って、築年数(経過年数)を上記の償却期間から引くことはしません。
また、償却方法は定額法(Straight Line Method)を使用します。
以下に日米の償却期間を一覧表にまとめます。
構造 |
用途 |
日本 |
米国 |
軽量鉄骨造 (骨格材の肉厚3mm以下) |
住宅用 |
19年 |
27.5年 |
事務所用 |
22年 |
39年 |
|
店舗用 |
19年 |
39年 |
|
木造 |
住宅用 |
22年 |
27.5年 |
事務所用 |
24年 |
39年 |
|
店舗用 |
22年 |
39年 |
|
重量鉄骨造 (骨格材の肉厚6mm以上) |
住宅用 |
34年 |
27.5年 |
事務所用 |
38年 |
39年 |
|
店舗用 |
34年 |
39年 |
|
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
住宅用 |
47年 |
27.5年 |
事務所用 |
50年 |
39年 |
|
店舗用 |
39年 |
39年 |
減価償却費計算例
では具体的に居住用賃貸不動産の減価償却費を計算してみましょう。
<例>
木造賃貸用物件の取得価格:100,000ドル
建物割合:80%(80,000ドル)
築年数:10年
アメリカの場合:
償却年数=27.5年
1年間の減価償却費=80,000ドル ÷ 27.5年=2,909ドル
日本の場合:
償却年数=(22年-10年)+10年*20%=14年
1年間の減価償却費=80,000ドル ÷ 14年=5,714ドル
このように、日米で減価償却の方法がだいぶ異なります。
ちなみに、米国にある賃貸用不動産でも、日本で確定申告する場合は、国内にある賃貸用不動産と同じように日本の減価償却のルールに従った方法で計算されます。
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