実例:日米両国での相続税(遺産税)申告の流れ

 

こんにちは。「米ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。

今日は、日本とアメリカの両方で相続税(遺産税)の申告が必要となる場合の手順を、とく子が担当したお客様の実例に基づいてご説明します。

日米それぞれの申告基準

日本とアメリカの両方に遺産がある場合は、日本とアメリカ両方で相続税(日本)・遺産税(アメリカ)の申告書の提出が必要になる可能性があります。

以下の金額基準を超える場合、申告が必要です。

日本:3,000万円+(600万円x法定相続人の数)

アメリカ:60,000ドル(アメリカから見て非居住者の場合のアメリカ国内にある遺産の相続発生時の時価)

アメリカでの申告

アメリカでの遺産税の課税対象はアメリカ国内にある遺産のみですが、申告自体は全世界の遺産が対象となります。そのため、日本とアメリカ両方に遺産がある場合は、両方の遺産の一覧が必要です。これには、資産だけでなく負債も含まれます。日本では「財産目録」などと言ったりしますが、アメリカでは(少なくともとく子は)「Asset List」と分かりやすく呼んでいます。

とく子のとあるお客様は、日本とアメリカ両方に遺産がある方でしたので、日本の遺言執行人である税理士の方から資産(遺産)の一覧をいただきました。

アメリカでの申告は資産一覧も提出するため、日本語で書かれた一覧を英訳して添付します。資産一覧のほかに、検認された遺言書の提出も必要になります。日本語で書かれている場合は、英訳が必要になります。こちらも、英訳して、翻訳者の方にCertificate of Translation(翻訳証明書)というのもつけていただきました。

日本での申告

日本での申告は、基本的に上記のアメリカの反対で、アメリカ側での遺言書がある場合は、それを和訳して、日本で相続税申告される税理士の方にお渡しします。
また、アメリカに不動産がある場合は、現地のAppraiserと呼ばれる方に不動産鑑定を依頼して、時価を出していただき、その鑑定書(Report)を和訳してお渡しします。

日米での申告の流れ

申告期限は、死亡日からアメリカは9月、日本は10か月です。期限ぎりぎりで提出する場合は、アメリカのほうが先になります。

アメリカ側で払った遺産税(相続税に相当)は、日本側で外国税額控除の対象となるので、アメリカ側で先に申告を終えたほうが順番的にはよいですが、2025年現在アメリカの控除額は約20億円で、日米租税条約に基づき、その控除額にアメリカ資産vs全世界資産割合をかけた分だけ控除可能です。そのため、アメリカ側での納税があるケースは相当な資産家の場合に限定されるため、2025年時点ではあまり申告の順番は気にしなくてよいと思われます。

まとめ

米国と日本双方で相続税・遺産税の申告が必要な場合は、日本国内だけの場合に比べて、相続人の方の時間的・経済的なご負担が大きくなることは確実です。

弊社では、米国と日本にまたがる相続に関する米国現地での税務申告はもちろん、米国にある遺産を日本に移管するサポートサービスを提供しています。世界最大手会計事務所での勤務経験を持つ米国公認会計士(USCPA)が直接対応し、高い専門性で複雑な手続きや英語でのやり取りをサポートします。少人数チームならではの柔軟性とコストメリットで、迅速かつ丁寧にお手伝いします。大切な資産を守るため、ぜひご相談ください。

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